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新しく土地を買うとき「どのくらいの規模の建物を建てられるのか」ということが気になりますよね。
建てられる規模には制限が設けられていて、自分勝手に決めることは許されません。
建物規模は工事費や賃料収入に影響を与えるので、不動産としての収益性を大きく左右します。
せっかく大金を払って土地を取得したのに、収入がほんの少しでは意味がありませんよね。
では思い通りの規模で建てたい場合、何を基準に土地を選べばよいのでしょうか。
そこで押さえておきたいのが建ぺい率と容積率です。
都市計画法で定められた規制の一種で、エリアごとに数値が決まっています。
この記事では土地の建ぺい率と容積率について、それぞれの意味や活用方法を詳しく解説していきます。
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弊社へのお問い合わせはこちら土地の建ぺい率と容積率とは~建物の建築面積を決める建ぺい率~
建ぺい率とは
土地の面積に対して建築面積が占める割合を建ぺい率といいます。
建ぺい率は、日照や通風など環境を衛生に保ち、防災や避難などの安全性を備えることを目的として定められています。
もし建ぺい率がなければ敷地境界線ギリギリまで建物がはりだして、衛生環境の悪化や地震や家事での被害拡大などさまざまな問題が発生してしまうでしょう。
それぞれの区域で建ぺい率の上限をどのくらいに設定するかは都市計画法に基づいて特定行政庁(建築主事がいる市町村区域は当該市町村の長、その他の市町村区域は都道府県知事)によって定められています。
用途の混在を避けるためにつくられた用途地域制限によってその数値が異なります。
建ぺい率の計算方法
建ぺい率は以下の計算方法で求めます。
単位は%です。
建ぺい率=建築面積÷敷地面積×100
たとえば土地面積100㎡、建物面積70㎡の場合の計算式は70㎡÷100㎡=70%となります。
建築面積とは建物を真上から見たときの面積(水平投影面積)です。
このとき1m以下の庇やバルコニーは含みません。
また1階部分の床面積とも異なる場合があるので注意が必要です。
建ぺい率の確認方法
建ぺい率の上限は不動産会社からもらう物件情報にも記載されていますが、地図を見ながら自分で調べる方法もあります。
市役所のWebサイトなどに都市計画図が公開されている場合は、建ぺい率が記載されている可能性が高いです。
Webサイトでは見つからない場合、市役所の都市計画課に電話で問い合わせれば教えてくれます。
土地の建ぺい率と容積率とは~建物の延べ床面積を決める容積率~
容積率とは
土地の面積に対して建物の延べ床面積が占める割合を容積率といいます。
容積率は建ぺい率と同様、衛生面や防災面に加えて、人口集中による過密を防ぐために作られた規制です。
容積率という概念がなければ、高層ビルやタワーマンションが次々に立ち並び、交通や電気など都市に必要なインフラがパンクしてしまいます。
容積率も特定行政庁が都市計画法に基づいて指定しています。
容積率の計算方法
容積率は以下の計算方法で求めます。
単位は%です。
容積率=延べ床面積÷敷地面積×100
たとえば土地面積100㎡、延べ床面積300㎡の場合の計算式は300㎡÷100㎡=300%となります。
容積率の計算は、前面道路の幅員に応じて制限がかかる点に注意が必要です。
敷地に面している道路の幅員が12m未満で、その幅員と地域による定数をかけあわせた数字のほうが小さい場合は、その数字が容積率の上限となります。
地域による定数は次のように規定されています。
●第一種低層住居専用地域、第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域、第二種中高層住居専用地域、第一種住居地域、第二種住居地域、準住居地域の場合 0.4
●その他の用途地域 0.6
たとえば容積率の上限が300%に指定されている地域で、5mの道路に接している定数0.4の土地は5m×0.4=200%となり、上限が下がります。
容積率の確認方法
建ぺい率とともに物件情報に記載されていることがほとんどです。
わからない場合は都市計画図や市役所への問い合わせで確認することができます。
ただし、先ほど述べた前面道路の幅員に応じた制限を受ける場合は指定上限がそのまま適用されるわけではありません。
定数と道路幅員を調べて自分で計算する必要があります。
土地の建ぺい率と容積率とは~建ぺい率・容積率の緩和~
建ぺい率や容積率は指定されていますが建築基準法の緩和規定を賢く利用すれば、指定以上の面積で建てることができます。
建ぺい率の緩和
建ぺい率は一定の要件を満たせば指定よりも割り増しできる場合があります。
これにより敷地を広く使って建てることが可能です。
延焼を防止できる建築物
指定建ぺい率が80%の用途地域かつ防火地域内にある耐火建築物の建築物は建ぺい率100%つまり無制限となります。
建ぺい率80%以外の用途地域でも、防火地域内の耐火建築物や準防火地域内の耐火建築物・準耐火建築物についても10%の緩和が受けられます。
角地
角地に位置する場合も、上限が10%引き上げられます。
容積率の緩和
容積率も緩和される場合があります。
ここでは主に住宅を建てるときに役立つポイントをご紹介します。
地下室
天井が地盤面から1m以下の高さにあるなど一定の基準をクリアする地下室の床面積は、全体床面積の1/3の広さを上限として容積率の算定対象から除外されます。
つまり地下室を作れば、最大1.5倍床面積を増やすことができるのです。
地下室があれば、楽器を演奏したり映画鑑賞をしたりと楽しみの幅が一気に広がりますね。
車庫(ビルトインガレージ)
建物に車庫が付属しているビルトインガレージの場合、全体床面積の1/5の広さを上限として算入対象から除外されます。
ビルトインガレージは車を雨風から守ることはもちろん、趣味を満喫するスペースとしても活躍しそうです。
出窓
出窓は部屋の雰囲気を開放的にします。
壁から張り出した出窓は、下端部分の高さが床から30cm以上、壁からの張り出しが50cm未満などの要件を満たせば床面積に算入されません。
ただし大きすぎる出窓は算入されることがあるので、注意が必要です。
ロフト
収納スペースとしても便利なロフトも容積率から除外される可能性があります。
ポーチ
ポーチは玄関を出てすぐにある庇のあるスペースです。
屋外空間なので基本的にはカウントされません。
ただし自転車置き場や物の保管など屋内と同様に使われるポーチはカウントする必要があります。
バルコニー・ベランダ
外気に有効に開放されている部分の高さが1.1m以上、天井高さの1/2以上あるバルコニー・ベランダは幅2mを上限として不算入になります。
日当りの良い面でバルコニーを設ければ、植物栽培や物干しスペースとしても活躍しそうです。
まとめ
ここまで建ぺい率と容積率について制限内容や計算方法、緩和条件などを解説してきました。
区域によって異なる数値が指定されているので、土地を購入するときは必ずチェックしなければならないポイントです。
物件情報の確認はもちろんのこと、市役所の情報と照らし合わせて正確な数値を確認しましょう。
特に容積率は前面道路の幅員が狭い場合、通常よりも制限が厳しくなるルールがあります。
誤った認識で設計を進めてしまうと、建物の収益性を大きく悪化させてしまうので要注意です。
一方で建ぺい率・容積率の制限を緩和できる方法があります。
知っている場合と知らない場合で大きな差が出るところなので、覚えておくと便利です。
積極的に取り入れて、理想の建物の設計に役立ててください。
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