所有している賃貸物件の取り壊しや建て替えをする場合は、入居者に退去してもらわなければなりません。
その際は、立ち退き料が必要となりますが、どのくらい必要なのか気になる方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、賃貸物件における立ち退き料についてご説明したうえで、相場や注意点についても解説します。
取り壊しや建て替えを検討している方は、ぜひ参考にしてください。
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立ち退き料とは、賃貸人側の都合により入居者に立ち退きを要求する際に、保証として支払う費用のことをいいます。
そのため、正当な理由もなく立ち退きを依頼する際は、立ち退き料を支払わなければなりません。
支払う理由
もともと、入居者に家賃滞納などによる落ち度のない状態で、貸主都合での強制的な立ち退きは認められておりません。
つまり、貸主都合の場合は立ち退きをお願いする形となるため、立ち退いた後の入居者の住まいは貸主によって保証する必要があります。
入居者の権利は借地借家法により守られているため、正当の事由がない限り、入居者には立ち退き要求を断る権利があるのです。
正当の事由とは、建物の使用を必要とする事情があったり、家賃を滞納していたり、建物が老朽化していたりという要件であれば基本的に認められています。
支払わなくてもいいケース
正当事由の内容によって料金が増減しますが、立ち退き料を支払わずに立ち退きを要求できるケースもあります。
そこで、主なケースを4つご紹介します。
1つ目は、入居者が契約違反をした場合です。
契約に違反していた場合、貸主側から契約を解除することができます。
この場合は借地借家法は適用されません。
2つ目は、定期建物賃貸借契約の場合です。
更新がない契約であるため、契約期間が満了となった際は立ち退き料は発生しません。
3つ目は、契約時に期限を設けた賃貸借契約の場合です。
契約締結時にすでに取り壊しが決まっていたり、一時的な使用により期限が明らかに決まっていたりして、借家借地法が適用されない場合は支払う必要がありません。
4つ目は、賃貸物件に重大な危険が発生した場合です。
住み続けることに危険が伴うような問題や欠陥が生じた際は、強い正当事由として認められ、支払わなくてもいいケースがあります。
このように、支払わなくてもいいケースもあるため、覚えておくと良いでしょう。
賃貸物件における立ち退き料の相場とは
立ち退き料の相場はいくらなのでしょうか。
ここでは、立ち退きまでの流れとともに解説します。
立ち退きまでの流れ
立ち退きまでの流れには、3つの手順を踏む必要があります。
立ち退きをスムーズに進めるためにも、流れを理解しておきましょう。
まずは、立ち退きの打診です。
入居者に対して、立ち退きに至った経緯を丁寧に書面でご説明します。
今まで利用してくれたことに対する感謝と、立ち退きに関するお詫び、補償内容についてもご説明しておきましょう。
続いて、代替物件の提案です。
立ち退きを打診する際は、代替物件の提案をおこないましょう。
入居者にとっては、住まいを追われる立場であるため配慮が必要です。
自分が所有しているほかの賃貸物件や、同じエリア内で賃料も同水準の物件をご紹介しましょう。
そして最後に、立ち退き料の算出をおこないます。
立ち退き料の相場
立ち退き料の金額に明確な決まりなどはありません。
しかし、一般的な相場としては、家賃6か月分程度は必要とされています。
立ち退き料の内訳は、引っ越し代に新居に住む際の敷金・礼金、不動産会社の仲介手数料、インターネット回線の移転費用などが含まれています。
立ち退き料を抑えるポイント
上記でも述べたように、立ち退き料は必ずしも必要となるわけではありません。
工夫や配慮をおこなうことで、費用を抑えることができます。
そこで、立ち退き料を抑える2つのポイントをご紹介します。
1つ目は、建て替えの計画をしっかり立てておくことです。
賃貸物件を建て替える際は、設計や建築会社の選定、プランニングなどをおこなう必要があるため、実際の建設工期以外にも時間を要します。
また、資金に関しても全額融資を受けるのではなく、ある程度の自己資金を準備しようと考えている場合は、数年間の準備期間が必要となるでしょう。
建替えの計画を立てたうえで、時期をみて退去要請をおこなうと、入居者も余裕をもって準備を整えることができます。
そうすることで、立ち退き料の必要性が低くなる場合もあるでしょう。
2つ目は、入居者に対して丁寧にご説明をおこなうことです。
退去要請は、賃貸借契約期間内に貸主側から契約解除を求めるものです。
入居者に納得してもらうには、丁寧なご説明が必要となります。
賃貸物件の劣化状況などを明確に示し、安全な居住空間を提供するためには建て替えが必要であることをきちんと伝えましょう。
さらに、建て替え計画が数年以内に計画されている場合は、新しい入居者との賃貸借契約の内容に追記しておくのもひとつの方法です。
定期借家契約にしておくことで、契約満了後に更新をおこなわないことを契約時に確認することができます。
新しい入居者は、更新なしでの契約を前提としているため、退去時のトラブルリスクも回避することができるでしょう。
賃貸物件の立ち退き料における注意点
ここでは、立ち退きの際の3つの注意点について解説します。
理由はわかりやすく伝える
立ち退きの理由はわかりやすく伝えることを意識しましょう。
入居者側としても、立ち退きとなると新しい家を探したり引っ越したりと手間が増えます。
そのため、曖昧な理由で退去を申し込まれると反感をいだきやすいため注意が必要です。
たとえば、「老朽化が進んでいるため、このまま住み続けると入居者にも悪影響を及ぼす可能性がある」などの正当な理由があれば納得してもらいやすくなるでしょう。
また、退去を要請するだけでなく、転居先を探すためのサポートをおこなうなどして、誠意ある対応を心がけることが重要です。
申し入れは6か月前までに
賃貸物件の契約において、貸主側から解約の申し入れをおこなう場合、期間満了の6か月前までにおこなうのが原則です。
また、期間に定めがない場合、解約申し入れから6か月が経過した際に解約の効力が生じます。
6か月前に解約を申し入れた場合でも、申し入れの際には正当な理由が必要であり、正当な事由がなければ解約はできません。
管理会社は交渉できない
貸主側としては、入居者に立ち退きのご説明をすることに対して、負担を感じる方もいるのではないでしょうか。
そこで、日ごろからお世話になっている管理会社に、交渉を依頼しようと考えている方も少なくありません。
しかし、退去要請の場合は、管理会社に依頼することができないため注意が必要です。
もしも、第三者に退去要請を依頼したい場合は、弁護士に依頼する必要があります。
ただし、入居者に誠意を伝えたいのであれば、貸主自身が直接交渉することが望ましいでしょう。
不安な場合は、弁護士にも相談しながら、貸主自身で慎重に交渉を進めるのがおすすめです。
弁護士にも事前に相談しておくことで、万が一のトラブルに発展しそうな場合でも入居者との間に入ってもらえるため安心です。
まとめ
立ち退き料とは、賃貸人側の都合により入居者に立ち退きを要求する際に保証として支払う費用のことをいいます。
立ち退き料の金額に明確な決まりはありませんが、一般的には家賃6か月分といわれています。
退去要請の際は、6か月前までに申し入れをし、管理会社は直接交渉することができないため注意が必要です。
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