「デザイナーズマンション」と聞くと、どのようなイメージが湧いてくるでしょうか?
「お洒落・かっこいい・コンクリート打ちっぱなし・個性的・天井が高くて窓が大きい」など、さまざまな言葉が浮かんでくると思います。
このデザイナーズマンション、じつはタワーマンションなどと同じく明確な定義がないのが実際のところ。
一般的には「高級マンション」というカテゴリーにデザイナーズマンションが含まれるという位置づけで、高級感だけではなく建築家の独自性やセンスがプラスされているのが特徴です。
そんな唯一無二のデザイナーズマンションは若い方を中心に人気があり、住んでいる方のステータスや満足度も高め。
デザイナーズマンションにはハッキリとした定義はありませんが「有名デザイナーや一流建築家がしっかりしたコンセプトをもち、設計段階から関わったオーダーメイドマンション」と考えるのが一般的です。
有名デザイナーや一流建築家ともなると、建築物はただのマンションではなく自分自身で創り出した作品(アート)とも呼べる存在。
そのため出来あがったマンションにはこだわりが詰まっており、外観デザインはもちろん、内装にも設計者のアイデアやセンスが満載です。
そのセンスのよさやカスタマイズによる洗練された空間、他の部屋とは違う特別感などが受けいれられ、デザイナーズマンションは人気物件となっています。
デザイナーズマンションは高級マンションのカテゴリーに含まれていますが、高級マンションとデザイナーズマンションの間にハッキリとした線引きはあるのでしょうか?
じつは高級マンション(ハイグレードマンション)とデザイナーズマンションには明確な定義がなく、お部屋を紹介する不動産会社でもその扱いや呼び方には差があります。
高級マンションは「防犯カメラ設置やオートロック、警備員が常駐しているなどのセキュリティレベルが高く、マンション内に温泉やサウナ、フィットネス施設、シアターなどが設置され共用部が充実している」物件が多く、安心して住めるため富裕層や一人暮らしの女性に人気があります。
ではデザイナーズマンションはセキュリティレベルが低く共用部が充実していないのでしょうか?
もちろん答えはノーです。
デザイナーズマンションのなかにはハイグレードマンション並みのセキュリティを施した物件もありますし、共用部にゲストルームや温泉、ジム、プールなどを完備した物件も存在します。
つまりハイグレードマンションとデザイナーズマンションの差は設備やセキュリティの差ではなく「デザイナーや一流建築家が設計段階からコンセプトに従って建設したかどうか」だけなのです。
デザイナーズマンションは有名建築家や有名な設計事務所が手掛けたこだわりあふれるオーダーメイドマンション。
そのため以下のような特徴があります。
・個性的な外観の物件が多く遠くからでも目立つ
・従来の間取りに縛られず、柱や壁のない広々物件もある
・部屋の真ん中にらせん階段やガラス張りバスルーム設置など個性的な物件も
・生活感を出さないために冷蔵庫や洗濯機が完全収納できる物件もある
・お洒落な景観を維持するためベランダがない、あっても使えない物件がある
デザイナーズマンションはその外観を損なわないためベランダがない、あっても使えない物件も意外とあるようで「住んでみたら使い勝手が悪かった」と残念に思うケースも。
もしそうであれば室内に乾燥機が設置できるか、物干しスペースがあるか、近くにコインランドリーがあるかなど確認しておくとよさそうです。
デザイナーズマンションは家賃が高めなので、高収入で社会的ステータスの高い方が多く入居しています。
経済的にゆとりのある方々は精神的なゆとりもあり、真夜中の騒音トラブルやゴミ出しトラブルを起こすようなモラルの低い方は少ない傾向にあります。
デザイナーズマンションによくみられるコンクリート打ちっぱなしの内装は防音性にかなり優れており、階下や隣室の方の声や物音が聞こえにくくプライバシーが守られます。
窓も二重サッシをはめ込んだ物件が多く、道路から入ってくる車の走行音や話し声などもしっかりカット。
静かな空間で落ち着いた暮らしを楽しみたい方にとって、コンクリートでできたデザイナーズマンションはうってつけですね。
天井が高く、柱や壁で細かく部屋が仕切られていないデザイナーズマンションは開放感があり、日当たりがよいのがメリットです。
一般的なマンションは建設費の制約があり同じような間取りの部屋を建築することが多いのですが、デザイナーズマンションは同じマンションでありながら間取りが部屋ごとに違っていたり、内装デザインにも差をつけるなどの工夫も見られます。
間取りのバリエーションが多いので、気に入った部屋が選べるのは大きな魅力ですね。
日本のデザイナーズマンションの草分け的存在は、1958年に建築された晴海団地高層アパートといわれています。
この団地はフランスで建築を学んだ前川國男が手掛け、外観はコンクリート打ちっぱなし、内装は和の雰囲気あふれる昭和レトロなデザインと当時としてはかなりお洒落なデザインでした。
デザインだけではなく、洋式便器を採用し、公団住宅としては初めてエレベーターを設置、電話やステンレストップのキッチンを採用するなど現代的な生活の基礎となる設備が備わっていました。
残念ながら平成9年に晴海団地は取り壊されましたが、日本のデザイナーズマンションはここから大いに発展していったのです。
1964年にはビラ・ビアンカが建築されましたが、いまだにその先進的デザイン性は高く評価され建物も健在、人気物件となっています。
黒川紀章が設計した中銀カプセルタワービル(1972年竣工)も内部の配管などが傷んでいるにも関わらず根強い人気があり、デザイナーズマンションの魅力に惹かれる方が今も住んでいる現役物件。
やはり有名建築家が設計したデザイナーズマンションは唯一無二の魅力と価値があり、長く愛されるようです。
現在もデザイナーズマンションが建築されていますが、今はデザイン優先で住みにくい物件は敬遠される傾向にあり、デザインと住みやすさ(収納力)を両立させた物件が人気となっています。
人気物件は風の流れや日当たりがよく、ゴルフバッグなど大きな荷物の入る収納を完備し、外観や内装に個性や美しさがありながら生活しやすい特徴があります。
高級マンションでありながらデザインに特徴があり、人とは違う物件に住みたい方にデザイナーズマンションはおすすめです。
デザイナーズマンションは特徴的なデザインだけではなく、強固なセキュリティや共有設備の充実した物件も多数。
お洒落でハイセンスな生活を楽しめる、住人とのトラブルが少ない、間取りのバリエーションが多いなどデザイナーズマンションにはたくさんのメリットがあり、生活の質を向上させたい方にとって魅力的な物件です。
デザイナーズマンションはとても人気がありますので、もし空き物件を見かけたら早めの内見や契約が吉ですよ。