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住宅ローン控除には、築年数に関する要件「築年数要件」が定められています。
2022年度の住宅ローン控除の改正により、この「築年数要件」に変更がありました。
中古住宅を購入する予定の方にとっては、朗報といえるかもしれません。
この記事では、2022年度住宅ローン控除改正後の「築年数要件」について解説します。
これからマイホームを購入したいとお考えの方は、ぜひ参考にご覧ください。
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弊社へのお問い合わせはこちら住宅ローン控除の「築年数要件」って?改正後と改正前の違いは?
改正後と改正前の違いについてご説明する前に、これまでの「築年数要件」がどんな内容だったのかを解説します。
これまでの築年数要件とは?
築年数要件とは、文字どおり「築年数」に関する要件のことです。
これまでの制度では、住宅ローン控除を申請するにあたり、以下の条件を満たしている必要がありました。
●木造の場合:築年数が20年以内
●耐火構造(主に鉄筋コンクリート造やレンガ造)の場合:築年数が25年以内
とはいえ、築年数が30年を越した物件も少なくありません。
築30年などの物件を購入して、住宅ローン控除を受けたいとなった場合は、どうなるのでしょうか?
その場合には、以下のいずれかの条件を満たす必要がありました。
●既存住宅売買瑕疵保険に加入している
●耐震基準適合証明書を提出できる
●不動産の取得日までに耐震工事を申請して、入居日までに工事が完了している
しかし、実際にこれらの条件を満たすのは難しく、住宅ローン控除適用外になるケースが多かったのです。
それが、2022年度の税制改正により、これまでの築年数要件が廃止され、新たな要件が加わることになりました。
改正後の内容については、以下にてご説明します。
これまでの築年数要件は事実上廃止
上記でご説明した、これまでの築年数要件は、今回の改正により事実上廃止となりました。
そのかわり、「昭和57年1月1日以降に建築された住宅」つまり、新耐震基準適合住宅であれば、証明書がなくても控除の適用になるという要件が加わったのです。
この要件緩和は、中古住宅を購入したい方にとって、うれしい変更といえるでしょう。
なお、昭和56年以前の住宅を購入した場合には、どうやっても住宅ローン控除は適用されませんので、ご注意ください。
改正前の築年数要件において必要な「耐震基準適合証明」とは?
住宅ローン控除改正前の築年数要件では、築年数が25年(木造は20年)以上経っていた場合、「耐震基準適合証明書」を提出する必要がありました。
そもそも、この「耐震基準適合証明書」とはなんなのでしょうか?
ここでは、耐震基準適合証明書とはなにか、どうやって取得するのかについて解説します。
耐震基準適合証明書とは?
耐震基準適合証明書とは「この建物は、建築基準法で定められた耐震基準を満たしたうえで造られました」ということを証明する書類です。
この書類を発行するには、耐震診断を実施する必要があります。
診断の結果、国が定めた基準に合格していれば、耐震基準適合証明書が発行されるという仕組みです。
なお、耐震診断で基準を満たさなかった場合、耐震改修工事をおこなえば、証明書を発行してもらえます。
そもそも耐震基準ってなに?
耐震基準とは、建物を設計する際に、その建物が地震に耐えうる強度をもっていると保証し、建設を許可する基準のことです。
耐震基準には、1950年から施工され1981年まで適用された「旧耐震基準」と、1981年6月から施行された「新耐震基準」の2つがあります。
旧耐震基準が補強され、「震度6強~7程度の地震がきても倒壊は免れる」という規定が加わったものが、新耐震基準です。
2022年現在も、この新耐震基準が適用されています。
耐震基準適合証明書はどこで取得できる?
耐震基準適合証明書は、建築士事務所登録をおこなっている会社の建築士であれば、発行できます。
建築士のほかにも、「指定確認検査機関」「住宅瑕疵担保責任保険法人」「登録住宅性能評価機関」にて取得可能です。
ご自身が住む場所の近くにある機関を選択すると良いでしょう。
なお、耐震基準適合証明書には有効期限があります。
有効期間は、現地調査日から2年間です。
発行日からではないため、お間違えのないようご注意ください。
耐震基準適合証明書の発行にかかる費用や機関は?
耐震基準適合証明書の発行にかかる料金は、診断費用と発行費用をあわせて、15万円前後が目安とされています。
その内訳は、診断費用が約10万円、発行費用が約5万円です。
また、耐震基準適合証明書は、申請から発行までに1か月ほどの期間がかかります。
発行までの流れは以下のとおりです。
●建築士へ相談する
●耐震診断を依頼する
●現地調査後、耐震診断の実施
●代金の支払いをして、建築士が耐震基準適合証明書を発行する
住宅ローン控除の築年数要件が廃止されるメリットや注意点
築年数要件の廃止によってメリットが得られる一方、注意しなければならないこともあります。
ここでは、築年数要件の廃止によって得られるメリットと、注意点について解説します。
メリット
築年数要件の廃止によるメリットは、なんといっても中古住宅が購入しやすくなるということでしょう。
たとえば、これまでの築年数要件では、築30年の住宅を購入したいとなった場合、耐震基準適合証明書などの提出が必要でした。
書類の発行にもお金がかかり、また書類の準備ができない場合には、住宅ローン控除を受けられなかったのです。
新築住宅の価格が大幅に高騰しているなか、築年数要件の廃止は、中古住宅の購入を検討している方にとっては大きなメリットといえます。
今後は、築20年を超えた物件の需要も高まっていくことでしょう。
一方で注意点も
中古住宅の売買をおこなう方にとっては、大きなメリットとなる築年数要件の廃止ですが、メリットばかりではありません。
これまで、既存住宅売買瑕疵保険への加入や耐震基準適合証明書を提出して、建物の性能が証明された場合にのみ、住宅ローン控除が適用されていました。
そのため「住宅ローン減税の対象となる=安心安全な建物」という認識だったのです。
しかし、今後は、新耐震基準以降であれば、証明書などの書類がなくても、住宅ローン控除が適用されます。
たとえその住宅が、「品質が保証できない物件」であってもです。
なかには痛みや劣化がひどい物件もあるため、これからは、より慎重に物件を見極める必要があるでしょう。
不具合のある中古住宅を購入する際の注意点
新耐震基準以降の建築物とはいえ、古い物件では築40年が経過しています。
築40年が経過した建物では、シロアリの被害を受け、床下がボロボロになっているケースも多く見られます。
このような中古物件を購入する際には、補修や改修工事が必要になりますが、その費用は決して安くありません。
たとえば、シロアリ被害の修繕では数百万円、建物が傾いているなどのひどい状態では、百万単位では済まないこともあります。
そこで、住宅ローン控除で戻ってきたお金を、工事費用にあてれば良いと考える方もいるでしょう。
しかし、中古住宅で住宅ローン減税が適用される場合、控除額は最大140万円です。
内容にもよりますが、控除額の140万円ですべての補修や改修工事が賄えるとは考えにくいでしょう。
築年数が古い住宅では、これらの費用も考慮したうえで、購入を検討しなければなりません。
まとめ
2022年度の住宅ローン控除改正により、築年数要件がどう変わったのかを解説しました。
築年数要件は事実上廃止となり、これからは、新耐震基準適合住宅であれば、住宅ローン控除の対象となります。
メリットがある一方で注意点もあるため、中古住宅の購入でお悩みの方は、ぜひお気軽に弊社へご相談ください。
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